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OARとはどこの国のこと?なぜロシアがRUSではなくOARになっているのか

      2018/02/09



OARとはどこの国のこと?

2月の平昌オリンピックの開幕を前に、そろそろ平昌オリンピックの競技日程などをチェックし始めている方も多いと思います。
そんな時に目につくのが、国名を表す国名コードです。

オリンピックでは、IOC(国際オリンピック委員会)によって定められたIOCコードと呼ばれる国名コードが使用されます。
例えば、日本なら「JPN」、アメリカなら「USA」、ロシアなら「RUS」です。

世界中の国々が参加するオリンピックでは、上記のような見慣れた国名コードもあれば、SLO(スロベニア)やSVK(スロバキア)など、普段は見慣れない国名コードも目に入ってきて、「どこの国のことかな?」なんて気になったりしますよね。

その中でも今回の平昌オリンピックで初めて目にして気になっている人が多いコードが、「OAR」です。
ですが、「OAR」は実は国名を表すコードではありません。

「OAR」とは、「Olympic Athlete from Russia(ロシア出身のオリンピック選手)」の略称であり、国名を表しているものではないのです。

「ロシアからのオリンピック参加選手なら、ロシアのIOCコードのRUSが使われるんじゃないの?」
と疑問に思われる方も多いと思います。
ロシアから平昌オリンピックに参加する選手に「RUS」という国名コードが用いられていないのは、ロシア出身の選手たちは今回、「ロシア代表」としてではなく「個人」として参加することになったためです。

では、なぜそんな事態になってしまったのでしょうか?
 

OARの理由。RUSが使えないのはなぜ?

平昌オリンピックでRUSが使用できないのは、IOC(国際オリンピック委員会)が国家代表としてのロシア選手団の派遣を禁止したためです。
ロシアは国家代表として平昌オリンピックに選手を送り込めないのです。

IOCがこのような処分を下した理由は、ロシアが組織的にドーピングとその隠蔽を行っていた事が判明したためです。
2016年、WADA(世界アンチドーピング機関)の調査チームは、ロシアが2011年から4年間、国家ぐるみで組織的なドーピングとその隠蔽を行っていたと報告しました。
夏季冬季の五輪やパラリンピックの30以上の競技で、1000人以上が関与していたとしています。

その調査結果を受けて、IOC規律委員会が2014年のソチ五輪でのロシア選手の検体の再検査などを行ったところ、次々に違反が発覚!

25人の選手に対し、オリンピックからの永久追放などを含めた処分が行われました。
ロシア代表がソチ五輪で獲得した33個のメダルのうち、11個のメダルがはく奪されました。

リオデジャネイロオリンピックの時にはすでにロシアの組織的なドーピングは明らかになっていたにもかかわらずIOCの対応が甘く、批判を浴びたこともあり、今回の国家代表としてのロシア選手団派遣禁止という厳粛な対応に繋がったのだと思われます。

ロシアの組織的なドーピングについて

ロシアの組織的なドーピングと隠ぺい工作について、具体的には、
「ドーピング検査施設の、棚の裏の壁に穴をあけて、スタッフが尿の検体をその穴から壁の向こうにいるロシア連邦保安庁の職員に渡し、中身を問題のない尿にすり替える」
などのことをしていたと報告されています。
 

OARとして参加の選手はどういう扱いになるの?

ロシア代表としては参加できないとはいえ、IOCは下記の条件を満たしている選手については、ロシア出身であっても個人資格で参加することを認めています。

1.これまでにドーピングで失格していない
2.反ドーピング機関が推薦する検査の実施

潔白が証明されている選手に関しては、「ロシアからの五輪選手(OAR)」として参加が認められるとはいえ、個人としての参加なので、表彰式ではロシア国歌の代わりに五輪賛歌が流されますし、ロシア国旗も掲揚されません。

個人競技ではない、カーリングやアイスホッケーのようなチーム競技でも、クリーンな選手であれば参加できることになっています。

ロシアオリンピック委員会としても、選手委員会を開催し、個人での平昌オリンピックへの参加を支援していくことを決定しました。
しかし、全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社は、ロシアは国として今回の冬季オリンピックには参加しないため、平昌オリンピックの中継をしないという情報もあります。
 

フィギュアのメドベージェワなどの有名選手は出場するの?

結局、IOCはロシア選手に対して、169人の個人資格での出場を認めるという決定を下しました。
ちなみにソチ五輪のロシア代表選手は232名でした。

169名が参加資格を得ましたが、団体戦でのメンバーがそろわないことなどを理由に出場を辞退したオルガ・グラフなどのような選手もいます。

こうなると気になるのが、日本人でも多くの人が知っているような有名ロシア人選手が、今回の平昌オリンピックに参加するのかどうか、と言うことだと思います。

フィギュア世界選手権2連覇中のメドベージェワ選手や、GPシリーズ中国杯・フランス杯優勝のザギトワ選手は出場することが決定しています。
男子GPシリーズ中国杯優勝のコリヤダ選手も出場します。

逆に、ショートトラックで金メダルを6個獲得している、韓国出身でロシアに帰化したビクトル・アン(安 賢洙、アン・ヒョンス)選手は参加資格を得られませんでした。
また、アイスホッケー男子ロシア代表は世界ランキング2位ですが、出場できない選手が複数います。
 

以上、OARとロシアのドーピング問題に関してのまとめでした。
平昌オリンピックに出場するロシア出身選手は身の潔白が証明されている選手ですので、気兼ねなく応援しましょう!