中国当局が一部の旅行会社に日本への団体旅行の制限を通達!考えられる4つの理由とは?

   

中国当局が中国国内の一部の旅行会社に対して、日本行きの団体観光ツアーを制限するよう通達を出したことが分かりました。

通達の内容は地域によって異なり、北京の旅行会社には「団体旅行客を減らせ」と口頭で伝えられ、山東省や大連市などの旅行会社には今年1年間に許可する団体ツアー客の人数の割り当てが具体的に伝えられているようです。
もうすでに割り当て分を販売し終えて、日本への団体ツアーの新規受付を停止した会社も出ているとのことです。

中国が日本への団体旅行制限を通達した理由としては、以下の4つが考えられそうです。

北朝鮮の新たな軍事的挑発または戦争の開戦が近いから

中国と北朝鮮の政府は密接なつながりがあります。
金正恩がトップになってからは中国の意向を無視した北朝鮮の暴挙も目立つようになりましたが、北朝鮮が何か軍事的な行動を起こす際には、事前に中国に情報が伝えられるでしょう。

もしかしたら今回の日本行き団体ツアーの制限措置は、開戦の可能性を考慮した中国国民保護の一環なのかもしれません。
ただ、もし本格的に開戦が近いとすれば団体ツアー客の制限などというぬるい措置ではなく、日本への渡航禁止命令を出すものと思われます。

今のところ戦争まで至る可能性は低いと思いますし、そう思いたいですが、北朝鮮の軍事的挑発が相次ぐ現在の情勢では、一つの可能性として考慮に入れておくべきでしょう。

資本の海外流出を防ぐため

中国の旅行収支の赤字は2014年時点で10兆円以上であり、現在でも大幅な旅行収支の赤字は続いているものと思われます。
また、中国の外貨準備高は近年下落傾向が続いており、2017年初めに一時的に3兆ドルを下回りました。

資本の海外流出やそれによる外貨不足を防ぐために、中国は様々な方法で海外への資金の持ち出しに制限をかけています。
数年前に話題になっていた中国人の爆買い騒動が急速に終息したのも、中国当局による制限や監視の強化が原因だと言われています。

今回の日本への団体旅行の制限も、海外からの投資で急速に成長した中国経済が、十分な内需の拡大がないまま資本の流出により萎んでいくのを恐れ、中国政府がとった資本流出防止策の一環である可能性は大いにあるでしょう。

最近、中国はTHAADの配置への報復措置として韓国への旅行商品の販売を禁止しており、その分の旅行客が日本へ流れたといわれています。
韓国旅行と日本旅行を同時に規制することで、少しでも資本流出を抑制するつもりなのかもしれません。

政治的対立への報復措置

上述した韓国のTHAAD配備への報復措置での韓国旅行の禁止や、台湾独立路線を追求する蔡英文総統が就任した際の台湾への旅行禁止措置と同様に、尖閣問題や北朝鮮制裁での対立に対するいやがらせだという見る意見もあります。

トランプ政権は北朝鮮が外貨を獲得する手段として利用している中国の銀行や企業を相手に制裁を拡大する意向を示しており、それに賛成する日本への報復・けん制として日本旅行の制限を行った可能性があります。

ただし、日本主導のことではないうえに中国政府も嫌々ながらもアメリカのこの制裁に協力しているため、少なくとも日本旅行制限の主な理由ではないように思われます。

日本の選挙が近いから

最近、安倍晋三首相が9月末にも衆院を解散し、10月中に衆議院選挙が行われるという報道が流れました。
自民党は他の政党と比較するとアメリカとの関係を重視し中国とは対立する傾向にあるため、中国政府としては親中傾向の強い民進党や共産党に政権を取ってほしいと考えているはずです。

中国人旅行者に依存している日本の観光業に対して脅迫的な行動をして、「自民党政権だと業績が下がってしまう」という不安を覚えさせ、観光業の企業に反安倍政権・反自民党になってもらい、親中派政党への投票を促す目的で今回の措置を講じた可能性も、わずかながらあります。

しかし、2012年には835万人だった訪日外国人旅行者数は2016年には2400万人に達するなど、観光業はかなり潤っており、ほとんどの企業は中国人の団体観光客がいなくなったからといって壊滅的なダメージを受けることはないでしょう。
日本旅行を直前に大量にキャンセルされた場合には短期的に大きな打撃となるかもしれませんが、今のところそのような動きは報じられていないようです。
中国資本の入ったホテルやバス会社など完全に中国に依存した観光業者は厳しいかもしれませんが・・・

中国人観光客は訪日外国人旅行者数の4分の1以上を占める約640万人弱、そのうち団体客は4割の250万人ほどであり、割合としては無視できる数字ではないのですが、仮に中国人団体客が全ていなくなったとしても、わずか4年で1600万人も増加した内の250万人に過ぎませんから、万が一今回の中国の日本旅行制限が日本の観光業を利用した選挙への揺さぶりであるとしても、その効果は非常に限定的でしょう。

昨今の観光特需が「クソ絶好調」から「絶好調」に変わるだけなのですから、企業の経営者は儲けられるだけ儲けたいかもしれませんが、従業員の方はむしろ少し余裕ができて喜ぶ人も多いのではないでしょうか。

ホテルに勤める知人の話では、現場では中国人観光客のマナーの悪さに辟易している従業員がかなり多いようで、「同じ人間とは思えない」とすら口にしていました。
普段そんな言葉を発するような人ではないので、よっぽど酷いのだろうと感じました。

個人的にも、日本を楽しんでもらえるのは観光業に勤める者でなくても嬉しいのですが、訪日外国人客の爆増に対してまだ日本の受け入れ態勢が整っていないため、特にマツモトキヨシやドンキホーテなどの免税店などでストレスを受けることが多くなりました。
USJやディズニーリゾートなども観光客でごった返しています。

全体の訪日外国人数が横ばいであったり減少しているのならば話は別ですが、今の状況で中国人団体客数がここでひと段落つくことは、申し訳ないけれど正直少し助かると考えている人の方が多いような気がします。

ちょっと長くなりましたが、というわけで逆効果である可能性も否めませんが、中国の今回の日本旅行制限令が日本の選挙への揺さぶりを一つの狙いとしている可能性はゼロではないと思われます。

中国への依存を減らそう!やられっぱなしはやめよう!

さて、4つの理由を挙げましたが、どんな理由であっても、このような先進国ではありえないような理不尽で突発的な脅迫的行為に国として屈服してしまうのは大変良くないことです。

14億に迫る人口を持つ中国の市場を無視できないのは分かりますが、まずはこのようなリスクのある中国に依存し過ぎない構造を作ることが重要です。
またこのような行動を常習化・過激化させないために、日本も黙ってやられっぱなしになっているだけでなく、報復措置を講じることが大切です。

かつてのレアメタル(レアアース)の禁輸措置の際、日本は90%以上を中国からの輸入でまかなっていた状態でしたが、決して屈服することなく、レアアース輸入先の多角化、リサイクルシステムの構築、欧米諸国と共同でのWTO提訴などの対抗策により、レアアースの安定的な調達を可能にしました。
また逆に中国のレアアース産業は市場価格の暴落により大打撃を被る事態となりました。

対等で良好な関係を築くためにも、一方的ないじめのような行為には毅然と立ち向かうことが重要です。